「俺の給料で満足しろ」と言った彼→私が昇進祝いの次の週に連れて行きたかった場所

コラム

個室で頭を下げた彼

居酒屋の個室で、同僚たちは私の試験前の話をたくさんしてくれました。彼は、その話を黙って聞いていました。
「では、本人から一言」
上司に言われて立ち上がり、彼のほうを見たのです。
「家で待っていてくれた人に、ありがとうと言いたいです」
「ずっと反対していました。すみませんでした」
彼がいきなり立ち上がって頭を下げたので、驚いてしまいました。頭を下げる彼を見ながら浮かんだのは、スマホに残っている40枚以上の食事の写真でした。反対されたことと、毎晩食事を用意してくれたことは、私の中ではどちらも消えていませんでした。上司の拍手に合わせるように、少し遅れて席に座りました。

そして...

帰りの電車で、膝の上の花束を見ながら切り出しました。
「来週、一緒に行ってほしいところがある」
どこに行くのか聞かれても、こう返しました。
「行けば分かる」
連れて行きたいのは、駅の向こうにある調理師学校の説明会です。予約は、もう2人分取ってありました。
彼が行くと言うかどうかは、まだ分かりません。あの言葉を、許したわけでもないのです。
「俺の給料で満足しろ」と言った彼に、私は自分の給料で、彼がしまいこんだ夢の続きを渡したかったのです。

(30代女性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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