
「お願い、彼氏のふりをして」と友人に頼まれた俺→部屋に来た彼が、紙袋を置いて言った一言
コラム
玄関のドアを押さえたまま、友人の彼は俺のコートを差し出してきました。怒鳴るような響きはどこにもなく、本気だということだけが伝わってくる声です。
スマホに表示されたのは、大学時代からの友人の名前でした。電話に出ると、友人は前置きもなく頼みごとを口にします。それが、俺が初めて誰かの彼氏役を引き受けた日の始まりでした。
電話で頼まれた役
「お願い、彼氏のふりをして」
友人とは大学のゼミで知り合い、卒業してからもたまに飲みに行く仲です。付き合って5年になる彼がいることも、前から聞いていました。
「彼がうちに来るとき、新しい彼氏として部屋にいてほしいの。私がいなくなっても、あの人は平気なのか確かめたい」
断るつもりでしたが、友人の声がいつもより低く、結局引き受けることにしたのです。
当日、友人の部屋に通された俺は、落ち着かないままソファの端に座っていました。友人は何度もスマホと時計を確かめ、玄関のほうを気にしているようでした。
紙袋を提げて現れた彼
インターホンが鳴ると、友人は小走りで玄関へ向かいます。
入ってきた彼は、細長い紙袋を提げていました。友人の後ろにいる俺に気づき、足を止めます。
「紹介するね。新しい彼氏」
友人がそう言うと、彼は俺の顔を数秒見つめました。怒るでも笑うでもない、何かを確かめるような目つきです。
俺は打ち合わせどおり「どうも」と頭を下げました。
彼は紙袋をテーブルにそっと置き、俺のほうへ向き直ったのです。
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本気だと分かった声


























