
妻の陶芸を理解できないと笑った俺が、2週間後に布の包みに入れて工房へ持っていったもの
コラム
布の包みを抱えて向かった工房
破片はハンカチでくるみ、さらに風呂敷で包んだものを抱えて家を出ました。妻にかけた言葉は「ちょっと出かける」だけでした。
作業台の前で先生と向き合うと、俺は包みを抱えたまま頭を下げました。
「理解できないなんて言って、すみませんでした。直し方を教えてください」
先生は包みを受け取り、俺の肩に軽く手を添えてくれました。並んで座って包みを開くと、先生は割れたカップを手に取ります。
「これ、奥さんが何度もやり直していたカップですね」
漆を扱うのは初めてで、指先はすぐに黒く汚れてしまいました。
そして...
家でテレビを見ていると、帰ってきた妻に「どこ行ってたの?」と聞かれました。俺は「ちょっと用事」と返すのがやっとでした。
金色の線が入ったカップを渡せるのは、まだ何週間も先のことです。それまでは、妻に話さないと決めていました。
理解できないと言った趣味に頭を下げたつもりでしたが、俺が頭を下げていた相手は、妻が何度も工房に通ったその時間だったのです。
(30代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)




























