「俺の友達には会わせたくない」と言い続けた彼。偶然入ったカフェで、彼の友人たちは私の名前を知っていた

カップル

約束のない日に届いた「今から行っていい?」。いつもの「そっか」を飲み込んで、スーツのまま来た彼の顔を見ました。彼の返事は、私が思っていたよりずっと短いものでした。

カップのスープに息を吹きかけていると、隣のテーブルから私の名前が聞こえてきました。話していたのは、見覚えのない3人の男性。雨宿りのつもりで入った店で、スプーンを置いたまま、その会話の続きに耳を向けていました。

友達の話になるたびに

彼とは付き合って1年半になります。私の友人とは何度か食事をしていて、誕生日会の店を真っ先に予約してくれたのも彼でした。

ところが、彼の友達の話になると、返ってくる答えは決まっていました。

「俺の友達には会わせたくない」

高校の同級生と今も集まっていることは知っていました。「今度、私も行ってみたいな」と言ったとき。集まりの写真を見せてほしいと頼んだとき。そのたびに同じ言葉が返ってきて、私は「そっか」とだけ答えていました。

これ以上聞けば、面倒な彼女になる。そう思って、SNSで彼の友人らしいアカウントを探しかけては、途中でアプリを閉じていました。会わせてもらえない私は、彼の生活のどのあたりに置かれているのだろう。答えの出ない考えだけが、少しずつ積もっていきました。

スープの冷まし方まで知っていた人たち

友人の引っ越し祝いを探しに出た帰り、にわか雨に降られて、目についたカフェに入りました。窓際の席で温かいスープを頼み、雨が弱まるのを待っていたときです。

隣の席の男性たちが笑いながら話していたのは、誰かの彼女のことでした。その中に、確かに私の名前がありました。

「猫舌だから、スープは少し冷ましてから飲むんだって」

私のカップからは、まだ湯気が立っていました。

話し声が途切れ、1人がこちらのカップと私の顔を見比べました。

「もしかして、あいつの彼女さんですか」

写真を見せてもらったことがあって、と彼は付け足しました。私がうなずくと、隣の男性が「いつも話、聞いてます」と笑い、もう1人はスマホを取り出して何か打ち始めました。

会ったことのない人たちが、私の猫舌まで知っている。それなのに、私はこの人たちの名前すら聞かされていませんでした。小雨になったのを確かめて、会釈だけして店を出ました。

駅へ向かう途中で、彼からメッセージが届きました。

「今から行っていい?」

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