彼女の猫舌のことまで友達に話していた俺が、一度も彼女を集まりに連れて行かなかった理由

カップル

「そっか」と言わなくなった彼女を前に、受け取ったマグの中ばかり見ていました。数日後にようやく話せたのは、あの3人の前でだけ見せていた、彼女の知らない俺のことでした。

休憩に入ってスマホを開くと、高校の同級生とのグループチャットに4件のメッセージが溜まっていました。送り主は、その日もいつものカフェに集まると聞いていた3人。普段なら俺をからかうだけのやりとりが、俺の彼女の話で埋まっていました。

あいつらの前での俺

高校の同級生3人とは、卒業してからも月に1度は集まっています。あの中での俺は、昔からいじられる側でした。高校の頃のあだ名で呼ばれ、何を話しても最後は笑われて終わる。それが俺の居場所でした。

付き合って1年半の彼女の前では、俺は落ち着いた彼氏でいられました。ただ、その裏で、誕生日の店選びも返信の文面も、全部あいつらに相談していたのです。彼女が猫舌だという話もしたし、写真も何度か見せていました。

「俺の友達には会わせたくない」

彼女に集まりのことを聞かれるたび、そう答えてきました。あだ名で呼ばれて笑われている俺を見たら、彼女の前の俺まで作り物に見える気がしたのです。相談の中身を全部話されるのも怖かった。彼女が「そっか」と引いてくれるたびに、俺はすぐ別の話を振っていました。

「お前の彼女、今、隣の席にいる」

グループチャットを遡ると、最初のメッセージはこうでした。

「お前の彼女、今、隣の席にいる」

「スープ冷ましてた。本物だった」

「ごめん、話しかけた」

「お前の話ばっかりしてたの、たぶん全部聞こえてた」

あいつらがいつもの調子で何を話していたのか、想像はつきました。俺が相談した細かいことまで、彼女は隣の席で聞いていたはずです。

返事を打つより先に、彼女とのチャットを開きました。

「今から行っていい?」

「うん」とだけ返ってきて、仕事を終えるとそのまま彼女の部屋へ向かいました。

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