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自動車整備士になった私。工場に配属初日から『女には無理』と言われ、客にも不安がられた

コラム

私は地方の整備工場で働く20代の整備士です。専門学校を卒業し、夢だった整備の現場に立てると意気込んで配属初日を迎えました。けれど、その朝の何気ない一言と、最初に担当した客の反応で、私はこの仕事の現実を知ることになったのです。

「女には無理」と聞こえた朝礼後

専門学校の整備科を卒業して、念願の整備士になった春のことです。配属初日の朝礼で、工場長が「今日から新人が入ります」と私を紹介してくれました。20人ほどの整備士の前で深く頭を下げ、これからやっていく決意を伝えました。

朝礼が終わり、自分の作業エリアへ向かう途中でした。少し離れた場所にいた40代くらいの先輩が、別の先輩に向かって言った声が耳に入りました。

「女には無理だろ」

聞こえないように小声で話したつもりだったのかもしれません。けれど、整備工場というのは音が反響する空間で、声はかえって響きます。

私は聞こえなかったふりをして、自分の工具箱の前に立ちました。手の中の道具をひとつずつ確認しながら、深く息を吐きました。

専門学校の最終学年で、ある先生が「現場には必ずこういう声がある。一年は黙って腕で示せ」と言っていたのを思い出していました。

初めての客に「変えてください」と言われた日

配属から3週間ほど経った頃、私は初めて担当指名なしの一般受付の客を任されました。40代くらいの男性で、白いセダンを長年大切に乗っている方でした。

「定期点検をお願いします」と書類を渡されたあと、私が「本日担当させていただきます」と挨拶をすると、その方の顔つきが少し変わったのが見えました。

「申し訳ないけど、男性の整備士の方に変えてもらえる?」

低く、申し訳なさそうな声でした。私の対応がどうこうではなく、最初から「女性に車を任せたくない」という気持ちが見て取れる声色でした。

私は表情を崩さず、「承知いたしました。少々お待ちください」とだけ返し、受付に戻って先輩への引き継ぎを頼みました。

控室に戻る道で、悔しさは確かにありました。でも、客側の不安も理解できなくはありませんでした。長年信頼してきた整備士の方々と並んで立つには、私はまだ何も証明していなかったのです。

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