「私のデスク、勝手に触らないでもらえますか」と伝えた翌日、ペン立てが床に転がっていた理由

コラム

出社するたび、机の上のものが少しずつ動いていました。マグカップは左の奥へ、書類はきれいに重ねられ、ペン立てまで揃っています。隣の席の同僚が直していると分かり、「勝手に触らないでもらえますか」と伝えました。

ところが翌朝、今度はペン立てが床に転がっていました。その次の日も、さらに次の日も、倒れているのは決まって同じ場所。4日目、さすがに偶然とは思えなくなった私は、隣の席の同僚に理由を聞きました。

毎回、私の机だけが整えられている

同僚は私より早く出社する人でした。いつからか私の机は彼女に整えられるようになっていました。書類は角を揃えて重ねられ、ペン立ては机の中央に寄せられ、ペンはキャップの色を合わせて立て直され、飲みかけのカップは決まって左の奥に移されています。自分の机はもっと徹底していて、付箋の向きまで揃っていました。

ありがたいと思おうとした時期もありましたが、書類を斜めに置くのも、カップを右手で取れる場所に置くのも、ペン立てを右の角に置くのも、私が自分で決めていたことです。それを毎日直されるのは、だらしないと言われ続けているのと同じでした。

お礼を言うたびに、同僚は小さくうなずくだけで、理由を口にしたことは一度もありませんでした。

「勝手に触らないでもらえますか」

ある日、取引先に渡す予定だった付箋付きの書類が、束の一番下に回されていました。探すのに10分かかり、外出の時間がずれました。戻ってから、私は隣の同僚に向かって言いました。

「私のデスク、勝手に触らないでもらえますか」

声を荒げたつもりはありませんが、周りの席の何人かが顔を上げたのは分かりました。同僚は画面から目を離し、私の机を一度見てから答えました。

「ごめんなさい。もうしません」

それだけ言って、また画面に戻りました。言えてよかったはずなのに、帰り道は何度もその横顔を思い出していました。

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