彼女の父から届いた俺宛ての手紙→挨拶の帰りに口にした一言の、本当の意味

コラム

便箋に並んでいた、お父さんの言葉

彼女と気まずいまま1週間がたった頃、届いたのがこの手紙でした。便箋には、こう書かれていました。

「住所を伺ったのは、口で話すより手紙のほうが、言葉を選べるからです。よかったことを言い合うのは、無口だった私のために、私の父が始めた習慣です。周りからは、変わった家だとよく言われます。あなたの答えを、家内も喜んでいました。次は、あなたの家の話も聞かせてください。」

変わった家だと書いたのは、お父さん自身でした。俺が口にしたのと同じ言葉を、あの家族は受け止めながら続けてきたのです。

自分の部屋で返事を書こうとして、何度もペンを置きました。数日後、封筒を持って彼女の部屋へ。

「お父さんから、俺宛てに手紙が届いた」

「何て書いてあったの?」

「返事を書いてから、ちゃんと話す」

手紙の話をすれば、あの一言の理由も、自分の家のことも話すことになる。その前に、お父さんへの返事で言葉を探したかったのです。

そして...

彼女に便箋を借りて、机に向かいました。最後の問いかけへの答えが、どうしても書けません。書いては消し、便箋を替えるたびに、書き損じが机の端に重なっていきました。

ようやく封をした帰り際、玄関で靴をはきながら、ようやく口にできたのはこの言葉です。

「あの時の変は、悪い意味じゃなかった」

彼女は小さくうなずいて、俺を見送りました。

駅前のポストに返事を入れたあと、開いたのは彼女とのチャット画面。「今度、うちの家の話をしてもいい?」と打ち込んだまま、送信ボタンには触れずに改札を抜けました。

(20代男性・営業職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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