
彼女の「もういい」に「わかった」と返すのをやめた俺。理由は、仲直りの帰り道に聞いた一言でした
コラム
長い言い訳を打っては消し、結局送れたのはたった一言でした。彼女から何が返ってきても、俺がその言葉を変えなかったのには、照れくさくて言えずにいる理由があります。
予測変換の「わかった」を消した理由
次の休みに仕事が入ったと送ったのは、俺のほうでした。前から彼女と水族館に行く約束をしていた日です。上司に急に頼まれ、彼女に相談もせず引き受けてしまったのは、断れない俺の弱さでした。
「いつもそうじゃん」と返ってきて、続けて「もういい」。
予測変換の一番上には「わかった」。これまでの喧嘩は、いつもこの言葉で終わってきたからです。
送る直前で、前の喧嘩のあとに彼女が言ったことを思い出しました。仲直りした帰り道、笑いながらぽつりとこぼした一言です。
「わかったって言われると、ほんとに終わっちゃいそうで嫌なんだよね」
本人はたぶん、覚えていないと思います。けれど俺のほうは、ずっとその言葉が引っかかっていました。
何を書いても言い訳になった
「わかった」を消して、代わりに長い文章を打ちました。断れなかった事情、楽しみにしていたこと、埋め合わせの提案。読み返すと、どれも言い訳にしか見えません。打っては消し、また打っては消して。
結局送れたのは、たった一言でした。
「よくない」
すぐに「もういいってば」と返ってきました。ここで返信をやめたら、彼女の「もういい」を受け入れたことになる。そう思うと、同じ言葉を送り続けるしかなかったのです。
会って話したほうがいいと思い、返信しながら上着を羽織って家を出ていました。けれど「今から行く」と送れば、「来なくていい」と返される気がして、そのメッセージだけは打てずにいました。
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電車の中で送り続けた言葉



























