
彼女の「もういい」に「わかった」と返すのをやめた俺。理由は、仲直りの帰り道に聞いた一言でした
コラム
電車の中で送り続けた言葉
電車の中では、つり革につかまりながら片手で返信を続けました。「しつこい」にも「寝る」にも、送ったのは同じ言葉です。ほかの言葉を探す余裕は、もう残っていませんでした。
彼女の駅に着いてホームに降りたとき、お腹が鳴りました。そこでようやく、ごはんを食べる前に家を飛び出していたことに気づいたのです。
いつもの返事のあとに、つい本当のことを付け足していました。
「よくない。あとお腹すいた」
冗談のつもりはありませんでした。改札を抜けたところで、彼女から電話がかかってきました。
そして...
改札の前で待っていると、彼女が小走りでやってきました。「ごめん」と頭を下げると、「私も、言いすぎた。ごめんね」と返ってきました。
コンビニでおにぎりを選んでいるとき、「なんでずっと『よくない』だったの?」と聞かれ、「なんとなく」とだけ答えて棚に目を移しました。あの一言を覚えていたと言うのは、なんだか照れくさかったのです。
12回も送っていたことは、帰り道に見せられた画面で初めて知りました。
今、俺のスマホの予測変換の一番上に出るのは「よくない」です。あれ以来、その言葉を送る場面はまだ来ていません。
(20代男性・営業職)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)





























