
彼女の服を否定し続けた俺が、母の前で答えに詰まった本当の理由
コラム
「ちゃんと言えたの?」
次のデートで、彼女はあのブラウスを着てきました。行き先を決めずに歩いていたら、いつの間にか母の店がある通りに入っていました。
扉が開き、じょうろを持った母が出てきます。母は彼女の姿を見るなり足を止め、上から下まで眺めました。
「形がよく合ってるわね。よく似合ってる」
それから、俺のほうを向きました。
「あんた、ちゃんと言えたの?」
何のことかは、すぐに分かりました。
「……まだ」
足元を見たまま答えると、母は首を横に振り、彼女に会釈して店へ戻っていきました。
帰り道、隣の彼女に何を話せばいいのか分からず、黙って歩きました。母に褒められても、彼女はうまく笑えていなかった。似合わないという言葉は、服ではなく彼女自身に向けたものとして届いていたのかもしれない。傷つけないために選んだ一言が一番の遠回りだったと、そこで初めて気づきました。
そして...
数日後、彼女に会って、前に着ていた服の話をしました。
「前の服が悪いんじゃなくて、形が体つきに合ってなかっただけなんだ」
彼女はしばらく自分の袖口に目を落としていました。
「それ、最初から言ってほしかった」
「ごめん」
今度、母の店で一緒に選んでみないかと誘うと、彼女は「考えとく」とだけ答えました。前の服をまた着てくれるのかどうか、その日は聞けませんでした。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)





























