
彼女の予定を本人の了承を得ずに3つ断った俺→空いたその日に向かった場所
コラム
「休む日、1日くらいあってもいいと思って」。理由を聞かれて口にできたのは、それだけでした。引っ越しの日、段ボールを運ぶ俺に友人が漏らした言葉があります。
テーブルに開いたままの手帳に、彼女の頬が乗っていました。ペンは指に挟まったままで、名前を呼んでも返事はありません。起こさないように手帳を引き抜こうとしたとき、開いたページに何本も引かれた線が目に入りました。
ペンを止めなかった彼女
彼女とは大学のサークルで知り合い、同棲して2年になります。共通の友人から何か頼まれると、彼女はまず手帳を開きます。断る言葉より先に、空いている欄を探す人でした。
あの寝顔を見る数日前、ソファから立って、リビングで手帳を広げる彼女の後ろからページを覗いたことがあります。
「予定多すぎ」
「大丈夫、ちゃんと回せてるから」
ペンは止まりませんでした。言い重ねても同じ答えが返ってくる気がして、俺は台所へ麦茶を取りに行きました。
線で消された陶芸教室
線が引かれていたのは、翌月の欄の陶芸教室の体験でした。日付を消して書き直した跡が、2つ並んでいました。
埋まっている欄を順に見ていくと、引っ越しの手伝い、サークルの飲み会の幹事、姉のフリーマーケットの店番。どれも誰かに頼まれた予定で、そのたびに彼女が自分で申し込んだものが後ろへ押し出されていました。
起こして話せば、また「大丈夫」と返ってくるだろう。そう考えた俺は、自分から連絡がつく相手にだけ、先に話をつけることにしました。友人には引っ越しを代わりに手伝うと伝え、グループチャットには「今回の幹事は俺がやります」と書き込みました。姉には電話で、今回は彼女に頼まないでほしいとお願いしました。
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言えなかった書き直しの跡



























