
「今日も残業」と毎日送ってくる夫。同僚の奥さんから届いた「ご主人、今日は定時でしたよ」
コラム
言い訳が届いたら、どう返せばいいのか。会社を出たあと、夫はどこへ向かっていたのでしょうか。
夫とのチャット画面をさかのぼると、同じ言葉ばかりが並んでいました。「今日も残業」。ここ3週間、夫から届くのは毎日この一言だけです。ある日、別の人から届いたメッセージで、その一言の見え方が変わりました。
決まって届く夫からの一言
「今日も残業」
通知が鳴るのは、決まって夫の会社の定時を少し過ぎた頃でした。こちらの返事もいつも同じで、「了解。無理しないでね」と打って送っていました。
3週間前までは、残業する日などほとんどありませんでした。「急に忙しくなったの?」と聞くと、夫は「まあね」と短く答えただけ。帰ってくると、ただいまもそこそこにお風呂へ向かってしまうのでした。
ラップをかけたおかずを冷蔵庫にしまうのが、すっかり習慣になっていました。もともと仕事の話をあまりしない人です。根掘り葉掘り聞くのも違う気がして、届く一言をそのまま受け取り続けていたのです。
保冷バッグを返すつもりが
その日、夫の同僚の奥さんにメッセージを送りました。先月の会社のバーベキューで知り合い、連絡先を交換していた人です。借りたままの保冷バッグを返したくて、都合のいい日を聞いたのでした。
「うちは毎日残業で、なかなか予定が読めなくてすみません」
そう書き添えると、少しして返信が届きます。
「ご主人、今日は定時でしたよ」
続けて、もう1通届きます。
「うちの人がエレベーターで一緒になったって言ってました」
画面を見つめたまま、夫とのチャットを開き直しました。「今日も残業」が届いたのは、ほんの1時間ほど前です。会社を出たあと、夫はどこへ向かったのか。誰かと会っているのか、それとも1人なのか。
奥さんには「そうだったんですね、ありがとうございます」とだけ返し、夫とのチャットに文字を打ち込みます。
「今日、定時だったんだよね?」
送信ボタンに触れる前に、一度だけ大きく息を吐きました。
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