
信号のたびに手を離す彼→今日は私から繋がないと決めた帰り道、改札で彼が言った一言
コラム
スマホのメモに引いた線が30本を超えたころ、次の青信号では自分から手を伸ばさないと決めました。改札の前で彼が口にしたのは、私が予想していたのとは別の、短い言葉でした。
商店街を抜けた先の赤信号で足を止めると、繋いでいた彼の手がするりと離れました。青に変わった瞬間、その手を取りにいくのはいつも私の役目。頭の中で数えていた数字が、また1つ増えました。
スマホのメモに並んだ線
彼とは付き合って8か月になります。デートの帰りは、私の家の最寄り駅まで手を繋いで歩くのが決まりでした。
ただ、信号で立ち止まると、彼の手は決まって離れていきました。青になって繋ぎ直すのは、毎回私のほう。
そのことに気づいた日から、スマホのメモに線を引くようになりました。私から繋いだら1本。彼から繋いだら、下の行に1本。
1か月たっても、下の行は空いたままでした。友達に話せば笑われそうで、メモのことは誰にも言っていません。それでも寝る前には、そのページを開くのが習慣になっていきました。
今日は私から手を伸ばさない
上の行の線が30本を超えたころ、一つ決めました。次の信号では、自分から手を伸ばさない。
数が気持ちの大きさなら、下の行が空いたままなのは、そういうことなのかもしれない。だとしたら、早く確かめてしまいたかったのです。
駅前の大きな交差点で、赤信号につかまりました。いつものように彼の手が離れ、その目は信号のほうへ。私は自分の両手を、カバンの持ち手の上に重ねました。
やがて信号が青に変わり、周りの人たちが一斉に歩き出しました。手を下ろしたまま、彼が動くのを待つことにしたのです。
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改札の前で聞いた言葉




























