「趣味は貯金」と言った私を笑った彼→誕生日旅行の旅館で、代金の出どころを打ち明けた

コラム

座卓をはさんで打ち明けたこと

「この旅行の代金、あの貯金から出してるんだよ」

彼は湯のみを座卓に戻して、私の顔を見ました。

「俺のために貯金してくれてたんだ」

うなずくと、彼は目を丸くしたまま、私と湯のみを交互に見ていました。

彼の誕生日に、2人でゆっくり泊まれる宿へ行く。それが、あの缶の使い道でした。部屋で笑われた日に話さなかったのは、この場所で驚かせたかったからです。

彼はそのまま、窓の外の川のほうへ顔を向けました。しばらくの間、部屋の中には川の流れる音だけが続いていたのです。

そして...

帰りの電車で、彼は窓の外を見ながら、何度か口を開きかけてはやめていました。

家に着いて、すっかり軽くなった缶を棚に戻しました。笑われた趣味で、彼を旅館に連れていけた。それで十分のはずです。

けれど、川のほうを向いたまま黙っていた彼の横顔が、帰ってからも頭に残っています。

電車の中で彼が言いかけてやめたのは、何だったのでしょうか。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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