隣の人をゴミ捨て場で叱り続けた私→孫に「今日は言うんでしょ」と言われて、本当に伝えたかったこと

コラム

本当のことを話せば、勝手に袋を開けたと知られてしまう。そう思うほど、隣の若い人を前にして口から出てくるのは、ネットや結び方の小言ばかりでした。

回収車が去ったあとの角に、黄色い紙の貼られた袋がひとつだけ残っていました。きつく縛られた結び目には見覚えがあります。半年前に隣へ越してきた、若い女性の袋でした。

角に残された袋

私の家の前の角は、近所のゴミ捨て場になっています。ネットを直したり、散らかった袋を寄せたりするのは、昔からなんとなく私の役目でした。

紙には「回収できません」とありました。半透明の袋越しに、乾電池とスプレー缶が見えます。このままでは、カラスにつつかれるまでここに残るはずでした。

迷った末に袋を家へ持ち帰り、庭先で中身を分け直しました。燃えるゴミの分だけを、次の収集日にそっと出しておいたのです。

2カ月ほど前のことでした。ひと月後にも同じことがあり、そのときは近くに住む孫が手伝ってくれました。

「お隣のお姉さんに教えてあげればいいのに」

孫にそう言われて、私は「次に会ったら、ちゃんと言うから」と約束しました。

口から出てくるのは小言ばかり

けれど、いざ彼女の顔を見ると、口をついて出るのは別の話ばかりでした。最初の袋を持ち帰った日から、ずっとそうでした。

人の袋を勝手に開けたと知られたら、気味悪く思われるかもしれない。そう考えるほど、本当のことは遠のいていきました。気づけば、袋を出しに来る彼女を角で待つのが習慣になっていました。

「袋の口はもっときつく縛りなさい」

「出す日はちゃんと確かめてるの?」

結び方にも出す日にも問題などなかったのに、そんな言葉ばかりが出てきます。

あの日も、ネットの端がめくれているのを見て、つい声をかけていました。

「ちょっと、ネットは端までかけてって言ったでしょう」

めくれていたのは、彼女が来る前からです。分かっていたのに、先に口が動いていました。

「決まりを守れない人が一人いると、みんなが迷惑するのよ」

謝る彼女の前で、自分でも何の話をしているのか分からなくなっていきました。

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