
妻の友人と会う日に残業だと嘘をついた俺。古いスマホの通知を写真で送られても隠した本当の用件
コラム
「了解。無理しないでね」という妻の返信を確かめてから、会社を出ました。向かったのは、家とは反対方向の駅です。残業だと送ったのは、その駅で人と会う約束があったから。ところが、家に置いてきたもののことを、俺はすっかり忘れていました。
古いスマホに入れていた連絡先
来月は妻の誕生日です。妻の友人たちを呼んで、内緒でお祝いの席を用意するつもりでした。
声をかけたのは、妻と学生時代から仲のいい友人。相談すると、友人は快く引き受けてくれました。
困ったのは連絡の手段です。妻は車に乗るたび俺のスマホで音楽をかけますし、地図を開くのも妻の役目。通知が1つ出ただけで、計画が知られてしまいます。
そこで、半年前に使わなくなった古いスマホに、友人との連絡用のアカウントを入れました。家のWi-Fiでしか使えないので、確認するのは家を出る前と帰ってからだけ。いつもは書斎の引き出しに戻すのに、この日の朝は慌てていて、ソファに置いたまま家を出ていました。
改札の前で届いた写真
この日は駅前で友人と待ち合わせ、そのまま2人で店の下見に向かう予定でした。
会社を出たところで、ポケットのスマホが鳴りました。妻から届いたのは1枚の写真。古いスマホのロック画面に、友人からの通知が写っていました。
「今日は19時に駅前でいい?絶対にばれないようにしてね」
少し前に届いた、前の日に決めた約束の念押しです。続けて「これ、何?」と届きました。
画面をのぞき込んだ友人が、口元を手で覆います。
妻から見れば、残業のはずの夫と自分の友人が、こそこそ会っているとしか思えないはずです。それでも、ここで全部書けば、2人で進めてきた準備が無駄になる。迷った末に送ったのは、中途半端な返事でした。
「ごめん。帰ってからちゃんと話す」
すぐに妻から返ってきました。
「残業じゃなかったの?」
「残業じゃない。でも、今は言えない」
「言えないことって何?」
打ちかけた返信を、何度も消しました。
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帰りの電車で読み返したやりとり





























