「泣かせたら許さない」親友の婚約者を怖がらせた、俺の言葉足らずな一行とは。

コラム

便箋の最後の段落

あいつから友人代表の手紙を頼まれたとき、誤解を解くならここしかないと思いました。式の1か月前、あいつの婚約者にメッセージを送りました。

「手紙の中で、少しだけ新婦さんに向けて話してもいいですか」

少し間があって、「はい、大丈夫です」と返ってきました。

披露宴の当日、マイクの前から見ると、あいつの隣で新婦がテーブルのグラスに目を落としていました。子どもの頃の話で会場が笑ったあと、最後の段落に入りました。

「新婦さん、初めて送ったメッセージが短すぎてすみませんでした。あれには続きがあります」

新婦が顔を上げたのが、視界の端に映りました。俺は顔を上げずに続けました。

「もしこいつが泣かせるようなことをしたら、まず僕に言ってください。僕が先に怒ります」

会場の笑い声の中で、あいつはおしぼりで顔を押さえていました。俺は便箋をたたみ、深く頭を下げました。

そして...

式の翌日、新婦からメッセージが届きました。

「手紙、ありがとうございました。あのメッセージ、ずっと怖かったです」

「ですよね。主語が抜けてました」と、すぐに返しました。続けて、新婦から質問が届きました。

「どうして続きを送らなかったんですか?」

正直に答えれば、昔の恋人の話になります。式の翌日にする話ではないと思い、こう返しました。

「長くなるんで、また今度話します」

その夜、あいつから電話がありました。「泣かせたら、先に怒る人に言いつけるからね」と、あいつはさっそく新婦に言われたそうです。

10年前、俺は恋人の味方になれませんでした。あの言葉足らずな一行は、ようやく正しい相手の味方になれたようです。

(30代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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