
「泣かせたら許さない」親友の婚約者を怖がらせた、俺の言葉足らずな一行とは。
コラム
幼なじみのあいつの婚約者に送った「泣かせたら許さない」の上には、送らずに消した長い下書きがありました。
婚約の知らせから数日後の夜、俺は転勤先の部屋で、スマホに長い文章を打っていました。書いては削り、また削る。送信したとき、挨拶とお祝いの下に残っていたのは、短い一行だけでした。
削っていった下書き
あいつとは小学校からの付き合いです。婚約の報告を電話で受けたとき、相手の連絡先を教えてほしいと頼んだのは俺でした。
下書きには、あいつが大事なことほど口に出さないこと、黙り込んだら放っておかずに聞いてやってほしいことまで書いていました。けれど、会ったこともない人に、あいつの欠点から伝えるのは出しゃばりすぎです。
削って削って、残ったのがこれでした。
「泣かせたら許さない」
あいつが泣かせたら、俺が許さない。そのつもりで送りました。
「味方が1人もいなかった」
20代の半ば、俺は仕事を理由に、当時の恋人との約束を何度も流しました。恋人の愚痴を聞いた友達は、あいつも含めて「忙しいんだから仕方ない」と俺の肩を持ちました。別れ際に恋人が言った一言は、今も忘れられません。
「あなたの周りには、私の味方が1人もいなかった」
だから、あいつの婚約者の味方でいようと決めていました。
ところが、あの一行には、既読がついてから返事が届くまでかなり間がありました。届いたのは「はい、気をつけます」。
主語を取り違えられたと分かりました。「いや、そうじゃなくて」と打ちかけて、消しました。言い訳に見える気がして、結局「よろしく」とだけ返しました。
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便箋の最後の段落




























