「なんで?今じゃだめなの?」と聞かれた俺→郵便受けに届いていた1通の封筒と、ノートの30問

コラム

「今日はもう眠いかも」。その返事を見て、無理をさせていると分かっていました。それでも質問をやめるわけにはいかない事情が、俺の手元にはあったのです。
郵便受けに、アパートの更新案内が届いていました。期限は2か月後です。封筒を手にしたまま思い浮かべたのは、付き合って2か月になる彼女の顔でした。更新するかどうかを、1人では決められない気がしたのです。

更新案内と30の質問

一緒に住もうと言うには、まだ早いと分かっていました。けれど更新すれば、あと2年は今の部屋に住むことになります。それに俺は、彼女のことをほとんど知りません。苦手な食べ物も休みの日の過ごし方も知らないまま、暮らしの話はできないと思いました。
そこでノートに、聞きたいことを30個書き出しました。好きな季節やあだ名に混ぜて、部屋の明かりは暖色と白のどっちが好きか、洗濯物は外に干したいか、といった質問も入れています。最後の1問だけは、書く前から決めていました。
一度に送れば重くなるので、1日3問、10日に分けることにしました。
「寝る前に3つ質問していい?」
答えが届くたびに、ノートへ写していきました。セロリ、カフェ巡り、秋。「メモした」と返したのは、本当にノートに書いていたからです。

「じゃあ1問だけ」と送った日

7日目、彼女から「今日はもう眠いかも」と届きました。
毎日のように質問を送られて、疲れないはずがありません。俺はさすがに迷いました。それでも更新の期限までに、ノートを埋めておきたかったのです。
「じゃあ1問だけ」
送ってから、自分勝手だと思いました。翌日には「昨日の残り2問も、いい?」と送り、彼女は5問に答えてくれました。眠そうな短い答えも、俺は一つ残らずノートに写しました。

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