
「奢られるのが当然だと思うな」と言った俺→半年分のレシートを取っておいたわけ
コラム
財布のカードの隙間には、半年分のレシートがたまっていました。改札の前で彼女に渡した封筒に入れたのは、その束と、もう1枚の紙です。
部屋の棚の上に、お菓子の空き瓶を1つ置いていました。彼女と会った日は、帰ってからその瓶にお札と小銭を入れるのが決まりです。付き合って半年で、瓶はずいぶん重くなっていました。
最初のデートで決まったこと
初めて2人で食事をした日、会計で財布を出した俺に、彼女は首を振りました。
「毎回奢ってもらうのって、借りができたみたいで苦手なの。普段は割り勘にしよう」
それからは、毎回きっちり割り勘です。彼女が嫌がることは、したくありませんでした。
それでも、一度くらいはちゃんとご馳走したい。そこで思いついたのが、あの空き瓶でした。
会計のたびにレシートをもらい、彼女が払ったのと同じ額を、帰ってから瓶に入れる。もし俺が奢っていたら払っていたはずの金額を、半年かけてためていたのです。
居酒屋のレジで出た言葉
あの日の居酒屋でも、いつものように電卓で金額を割りました。
「3400円ね」
「たまには奢ってくれてもいいのに」
彼女は笑っていましたが、その言葉で頭の中の計画がぐらつきました。半年間ずっと割り勘にしてきたのに、急にそう言われて、どう返せばいいのか分からなくなりました。その瞬間、実家で母がよく言っていた言葉が口から出ていました。
「奢られるのが当然だと思うな」
「冗談だよ」
そう返されて、ようやく自分の声の硬さに気づきました。謝るきっかけを探しているうちに、駅に着いてしまったのです。
その日も、帰ってから彼女が払ったのと同じ額を瓶に入れました。誕生日に、別の形で返すと決めていたからです。
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誕生日にも割り勘にしたわけ


























