
「お前を振ったのは俺だ」と3年言い続けた俺→別れて数日後、ふすまの向こうで聞いた陰口
コラム
仲間の笑い声が止まった座敷で、俺は元カノの顔を見られませんでした。3年間言い張ってきたあの言葉を、ここで引っ込めていいのか分からなかったのです。
駅前のカフェの窓に、雨粒が流れ続けていました。向かいに座った元カノが、別れたいと切り出したのはそのときです。仕事を辞めたばかりの俺には、引き止める言葉が見つかりませんでした。
雨の日のあとで
元カノの言い分は、もっともでした。
辞めた理由をきちんと話さず、ふさぎこんでいたのは俺のほうです。
別れて数日後、元カノの来ていないサークルの集まりに顔を出しました。
トイレから戻る途中、ふすまの向こうから幹事の友人の声が聞こえてきます。
「仕事辞めた途端に振るとか、冷たくない?」
何人かがうなずいている気配でした。
このままでは、元カノはこの集まりに来られなくなると思ったのです。
次の集まりで元カノが顔を出したとき、俺はみんなに聞こえるように言いました。
「お、来た来た。お前を振ったのは俺だからな」
引っ込められなくなった言葉
仲間たちは笑い、元カノを悪く言う声はそれきり聞かなくなりました。
一度言い出した以上、もうやめるわけにはいきません。
やめれば、また元カノが冷たい人にされてしまう気がしたのです。
だから集まりのたびに、元カノが席に着く前に言うようにしていました。
今回も、同じつもりでした。
幹事の友人に「そういえば2人、なんで別れたんだっけ」と聞かれ、いつもどおりに答えます。
「お前を振ったのは俺だ」
笑い声のあと、元カノがまっすぐこちらを見ました。
「振ったのは私でしょ」
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あの日は雨だった




























