「間違えてないよ。動物園の、キリンの前」と送った俺→付き合う前から知っていた、彼女とのあの日

コラム

「誰かと間違えてない?」。そう聞かれて、間違えるはずがないと思いました。20年近く覚えていた顔を、友人の誕生日会で見つけたのですから。それでも、どう伝えればいいのかは分かりませんでした。
「ねえ、覚えてる?」と送ったあと、続きを打つまでに少し時間がかかりました。相手は、付き合って2週間の彼女です。彼女が覚えていない可能性のほうが高いことも、分かっていました。

誕生日会で気づいたこと

彼女と知り合ったのは1カ月前、友人の誕生日会です。自己紹介で名前と出身地を聞いた瞬間、俺は思わずグラスを置きました。
小3のとき、俺は彼女と同じクラスにいたのです。その次の春に家の都合で隣の県へ引っ越し、それきり会うことはありませんでした。
当時の俺は、体が小さくて目立たない子どもでした。彼女が覚えていないのも無理はありません。
それでも、話しているうちに、笑い方があのころのままだと分かりました。昔のことは言えないまま、俺は彼女に連絡先を聞いていました。

遠足の日のこと

小3の遠足の行き先は、動物園。キリンの前で、俺は弁当箱を地面に落としてしまいました。
周りが笑う中、彼女だけが残って、散らばったおかずを一緒に拾ってくれたのです。それから、自分のおにぎりを半分に割って差し出してくれました。
そのせいで2人ともクラスの列からはぐれ、彼女だけが先生に叱られました。泣いている彼女に、俺は「ありがとう」も「ごめん」も言えないまま。
あの日から、俺の初恋は彼女でした。

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