「間違えてないよ。動物園の、キリンの前」と送った俺→付き合う前から知っていた、彼女とのあの日

コラム

送ったメッセージ

付き合い始めてからも、いつ話すか迷っていました。気味悪がられるかもしれないと思うと、なかなか切り出せません。
「ねえ、覚えてる?」
「小3の遠足」
しばらくして、彼女から「ごめん、何のことか分からない」と返ってきました。
「やっぱり覚えてないか」
俺はそう返しながら、少しだけ寂しく思いました。次に彼女から届いたのは、こんな1通です。
「誰かと間違えてない?」
「間違えてないよ。動物園の、キリンの前」
これ以上はメッセージで話すことではないと思い、俺は「次に会ったとき、ちゃんと話す」と送りました。
その週末、実家の母に頼んで、遠足の写真を探してもらいました。郵便で届いた1枚の後ろの列には、小さな俺と、まだ髪の短い彼女が写っていました。

そして...

カフェで写真をめくり、後ろの列の端にいる男の子を指さしました。それから、キリンとおにぎりの話をして、20年近く言えなかった「ごめん」と「ありがとう」を伝えました。
彼女は写真を見つめて、「叱られたの、あなたのせいだったんだ」と笑いました。
写真を裏返しのまま置いたのは、見せる前に俺の口から話したかったからです。その裏の隅には、20年近く前に母が鉛筆で薄く書いた「おにぎりをくれた子」の字が残っていました。

(20代男性・公務員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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