「今度会ったときに、ちゃんと話す」と返した俺→彼女のカレンダーの4日と2日と、夜勤の休憩の時刻

コラム

「今度会ったときに、ちゃんと話す」。そう返すまでに、俺は休憩室で何度も文章を打ちかけては、壁の時計と休憩の残り時間を見比べていました。
休憩室の自販機の前で、俺はロッカーから出したスマホを開きました。画面には、付き合って半年になる彼女から届いた「おやすみ。明日も頑張ろうね」。それを読むのが、勤務中のたった1つの楽しみでした。

言い出せなかった異動

物流倉庫で働く俺が、夜勤のある部署へ移ったのは2か月前のことです。4日働いて2日休む、交代制の勤務でした。
夜勤を希望したのは、手当が増えるからです。彼女と2人で住む部屋を借りるお金を、少しでも早く貯めたかったのです。
本当は異動が決まったとき、すぐ彼女に話すつもりでした。けれど異動が決まる少し前、交代制で働く友人の話になったとき、彼女がこう言っていたのを思い出しました。
「会える時間が減るのは、やっぱり寂しいな」
その言葉が引っかかって、結局言い出せませんでした。お金が貯まったら、部屋の話と一緒に打ち明けよう。それまでは会う日を休みの2日間に合わせて、ほかの日に誘われたら「その日はちょっと」と返すしかありませんでした。

休憩のたびに開いた画面

勤務中、スマホはロッカーに入れておく決まりです。触れられるのは、3時間おきに回ってくる休憩のときだけでした。
休憩室に入ると、真っ先に彼女とのチャットを開きました。彼女の「おやすみ」を読むだけで、残りの作業を乗り切れる気がしました。
すぐに返事をしなかったのは、寝ている彼女を起こしたくなかったからです。返事は、彼女が目を覚ます頃に届くよう送っていました。
「おはよう。今日もがんばって」
次の休憩でも、その次の休憩でも、俺は同じ画面を開いては眺めていました。既読の時刻を彼女が毎日書き留めているなんて、思いもしませんでした。

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届いた問いかけ
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