「男なら奢って当然」と言った彼女→レジで店員が俺に差し出した1枚の領収書

コラム

レジで財布を開きかけた俺に、店員さんは小さく首を振りました。差し出された1枚の紙を見て、後ろにいた彼女が手を伸ばしかけて…。

その日、店に着いて予約の名前を告げると、店員さんは窓際の席へ案内してくれました。付き合って3年の彼女が、珍しく自分で選んだ店です。メニューを開く前から、向かいの彼女はどこかそわそわして見えました。

メニューの前で返ってきた言葉

料理の値段を見て、思わず冗談が口をついて出たのです。
「今日は割り勘にしようかな」
付き合ってから、会計はずっと俺が持ってきました。彼女は毎回財布を出してくれますが、俺が首を振るのがいつもの流れです。
ところがその日の彼女は、メニューから顔を上げて、店員さんにも聞こえる声で言いました。
「男なら奢って当然」
近くにいた店員さんが、ちらりとこちらを見ました。3年間、彼女の口から一度も聞いたことのない言葉でした。
「冗談だって」
笑ってみせても、彼女は「ほんとに?」とだけ言って、またメニューに目を戻してしまいました。

いつもと違う彼女の様子

料理が運ばれてきても、彼女はあまり話しませんでした。ときどきレジのほうを見ているようで、彼女のグラスの水は、ほとんど減っていませんでした。
デザートの皿が下げられたころ、彼女が「お手洗い」と言って席を立ちました。戻ってくるまで、思ったより時間がかかっていたのです。
「そろそろ出ようか」
彼女が戻ってから声をかけて伝票を探しましたが、テーブルのどこにも見当たりません。店員さんに目で合図して、先にレジへ向かったのです。
財布を開きかけた俺を見て、レジの店員さんが小さく首を振りました。

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