彼女の車のハンドルに、俺が触れなかった事情→ルームミラーのお守りと、実家の玄関先で頼まれたこと

コラム

助手席で見ていたもの

「やっぱり今日はそっちが運転して」
そう言って車を降り、助手席に回りました。理由を話せば、お父さんとの約束を彼女に背負わせる気がして、言わずにおきました。
走り出してからは、彼女の手元ばかり見ていました。ウインカーを出すのが少し早いところも、合流の前に深く息をつくところも、お父さんに教わったのだろうと思えました。
「何か言いたいことがあるなら言って」と言われても、「別に」としか返せませんでした。上手だと伝えたら、運転しない理由まで話してしまいそうだったのです。

そして...

海沿いの駐車場で、俺は「いい車だな」とだけ言いました。本当は、いい運転だなと言いたかったのです。帰り道も、運転席を代わろうとは一度も思いませんでした。
アパートに戻ってから、車の横でお父さんにメッセージを送りました。のぞき込まれそうになって画面を伏せ、「また今度、ちゃんと話す」とごまかしたのは、我ながら下手なやり方でした。
送った文面はこうです。「今日、ハンドルには一度も触っていません。娘さんの運転で、海まで行ってきました」

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

  • X
  • Line