「外食のほうがマシ」と言った彼の帰りが遅くなった数日後、定休日の私の店の厨房にいたのは

コラム

厨房から出てきた皿

戸を開けると、スタッフがこちらに気づいて会釈をしました。
その隣で私のエプロンを着けていたのは、彼でした。
彼は厨房から皿を1枚持って出てきて、カウンターの私の前に置きます。
店で一番よく出る、オムライスでした。
卵は少し破れていて、ソースのかけ方も私のものとは違います。
「食べてみて」
スタッフは笑顔のまま、厨房の奥へ下がっていきました。
外食のほうがマシと言った人が、私の店で私の料理を作っている。
状況がうまくのみこめないまま、私は皿を見つめるばかりでした。

そして...

カウンターの向こうで、彼は私のエプロンのひもをいじっていました。
帰りが遅かった2回の理由も、スタッフが合鍵を借りた理由も、まだ誰からも聞いていません。
スプーンを手に取ると、彼が小さく息を吸うのが分かりました。
一口食べると、店の味に近いのに、どこか違います。
「ソースのかけ方が違う」
私の口から出たのは、それだけでした。
家のごはんより外食がいいと言った彼が、なぜこの店の厨房に立っていたのでしょうか。

(30代女性・飲食店経営)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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