遠距離の彼に「会いに来るのはいつも私じゃん」と言った日、彼の部屋の棚で見つけた私の実家近くの店の紙袋

コラム

彼の部屋の棚の奥に、見覚えのある店の紙袋が何枚も重ねてありました。用事があったとだけ言う彼に、それ以上は聞かずにいました。

新幹線を降りて在来線に乗り換え、彼の住む駅に着きました。遠距離になって1年半、この改札を通るのはもう何回目か分かりません。迎えに来た彼の顔を見て、ほっとしたのも最初だけでした。

いつも私

彼とは学生時代に知り合い、付き合って3年になります。私が仕事で遠くの街に移ってから、会いに行くのはずっと私の方でした。月に一度、仕事を終えてから新幹線に飛び乗るのが、すっかり習慣になっています。彼がこちらへ来てくれたのは、半年ほど前が最後でした。
彼の部屋で荷物を下ろしたとき、彼が言いました。
「来月も来れる?」悪気がないのは分かっています。それでも、新幹線の切符代と移動の時間が頭に浮かびました。「会いに来るのはいつも私じゃん」口に出すと、思っていたより強い声になりました。「ごめん」彼は目をそらしたまま、それだけ言いました。次は自分が行く、という言葉は最後まで出てきません。

棚の奥の紙袋

気まずい空気をごまかすように、持ってきたお土産を台所の棚にしまおうとしました。
扉を開けると、奥に紙袋が畳んで重ねてありました。物をため込まない彼にしては、きれいにそろった紙袋。どれも同じ色で、同じ柄です。
何の気なしに一番上の1枚を手に取ったとき、印刷された店の名前に目が留まりました。

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実家の近くの店
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