「お前は俺に合わせろ」と横断歩道で先に渡った彼→友人の結婚式の日、私の足元から目を離さなかった

コラム

式場の出口で、彼が私の足元にじっと目を落としました。駅までの道、いつもなら数歩先を行く背中が、なぜかずっと隣にあって…。

映画館の前の横断歩道で、彼の背中がまた少し遠くなりました。小走りで追いついても、彼は信号を見上げたまま歩幅をゆるめません。付き合って2年、このやりとりはもう何度目か分かりませんでした。

横断歩道で言われたこと

「もう少しゆっくり歩いて」
隣に並んでそう言うと、彼は前を向いたまま答えました。
「お前は俺に合わせろ」
信号が変わると、彼はまた先に渡っていきました。上映の時間が迫っていたのは、分かっています。それでも、言い方というものがあるはずでした。
デートの日は、いつもスニーカーを選んでいました。ヒールのある靴は、靴箱の奥にしまったままです。
映画の間も、さっきの言葉が頭から離れないままでした。

結婚式の日の白いヒール

翌月、大学時代の友人の結婚式がありました。新郎は彼の友人で、私たちを引き合わせてくれたのもこの2人でした。
受付を済ませると、彼は新郎側、私は新婦側の友人の席に分かれて座りました。
式には、久しぶりにヒールのある白い靴を履いていきました。式場までの道でも、彼はやはり数歩先を歩いていたのです。
披露宴の途中、新婦になった友人が高砂を下りて、彼と何か話しているのが見えました。私の席からは、声までは聞こえません。彼が何度かうなずき、友人は席に戻っていきました。
お開きのあと、式場の出口で彼が立ち止まりました。そして、私の足元にじっと目を落としたのです。

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隣にあった足音
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