
「お前は俺に合わせろ」と横断歩道で先に渡った彼→友人の結婚式の日、私の足元から目を離さなかった
コラム
隣にあった足音
「行こうか」
彼はそれだけ言って、歩き出しました。いつもなら数歩先にある背中が、なかなか前に出ていきません。
横目で見ると、彼は私の歩幅に合わせて、小さく足を運んでいました。駅までは、ゆるい下り坂の石畳が続いています。かかとがひっかかりそうになるたび、彼の手が少しだけこちらに動くのが見えました。
駅の階段に着くと、彼は先に1段下りてから、こちらを振り返ったのです。
「手、つかまって」
差し出された手を取り、1段ずつ下りていきました。彼は最後まで、私より先に行こうとはしませんでした。
そして...
ホームに着いても、彼はしばらく私の靴を見ているだけでした。電車が来るまでは、まだ何分かありました。高砂を下りてきた友人に、彼が何度かうなずいていた姿が浮かびます。
「お前は俺に合わせろ」と言った彼が、今日はずっと私の靴に合わせて歩いていた。披露宴で新婦になった友人は、彼に私の何を話していたのでしょうか。
(20代女性・保育士)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)




























