2年間ずっと先を歩いていた俺が、友人の結婚式で高砂から下りてきた新婦に聞かされた一言

コラム

駅の階段で彼女に手を差し出すまで、俺は2年間、ほとんど振り返らずに歩いていました。足元を見るきっかけをくれたのは、その日の主役だった人です。

新郎の友人代表のスピーチを終えて、自分の席に戻りました。グラスを置いたところで、高砂から下りてきた新婦が隣にかがみました。新婦は彼女の大学時代の友人で、新郎と一緒に俺たちを引き合わせてくれた人でした。

2年間の歩き方

昔から歩くのが速く、待ち合わせにも早めに着かないと落ち着かない性格です。彼女がいつもスニーカーで来るので、歩くのが好きなのだと思い込んでいました。
「もう少しゆっくり歩いて」
映画館の前の横断歩道でそう言われたときも、頭にあったのは上映の時間だけでした。
「お前は俺に合わせろ」
言ったあとで隣を見ると、彼女はそれきり前を向いていました。
謝るほどのことでもない。そのときは、本気でそう思っていたのです。

高砂から下りてきた新婦

「あの子、デートの日はずっとスニーカーなんだよ」
新婦は笑いながら、そう切り出しました。スピーチの緊張がまだ残っていて、最初は何の話か分かりませんでした。
「置いていかれないようにって、前に言ってた。今日のヒールも、本当は履き慣れてないと思う」
俺は何度かうなずくことしかできず、新婦は席に戻っていきました。彼女の席は新婦側の友人のテーブルで、ここからは背中しか見えません。
式場に向かう道で、白い靴の彼女を数歩うしろに置いて歩いていたことを思い出しました。2年間、同じことをくり返していたのでした。

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