
2年間ずっと先を歩いていた俺が、友人の結婚式で高砂から下りてきた新婦に聞かされた一言
コラム
出口から駅までの歩幅
お開きのあと、式場の出口で、彼女の足元をあらためて見ました。細いヒールは、思っていたよりずっと高く見えたのです。
「行こうか」
歩き出してからは、彼女の足音を聞きながら、隣を歩くように歩幅を合わせました。いつもの速さを落とすだけなのに、思った以上に意識が必要でした。駅までの石畳の坂で、かかとがひっかかりそうになるたびに、彼女の腕へ手を伸ばしかけました。
駅の階段の前で、先に1段下りて振り返りました。
「手、つかまって」
彼女の手は少し冷たく、1段ずつ確かめるような下り方でした。
そして...
「ちょっと座ろう」
ホームのベンチで、しばらく彼女の靴を見てから、新婦に聞いたことをそのまま話しました。2年間ずっと先を歩いていたことも、横断歩道での言葉も、頭を下げて謝ったのです。
彼女は少し笑って、「あの子、余計なこと言って」とだけ言いました。許してもらえたのかどうかは、まだ分かりません。
次のデートに、彼女がどんな靴で来るのかも分からないままです。
「お前は俺に合わせろ」と言っていた俺に、2年間ずっと合わせてくれていたのは、彼女の靴のほうでした。
(20代男性・営業職)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)




























