
商店街で「あなたと歩くの恥ずかしい」と手を引いた彼女→数日後、俺の部屋のテーブルで光った画面
コラム
「消しといて」と頼んだ展望台の写真。「あとで消すね」と言った彼女のスマホが、数日後、俺の部屋のテーブルの上で光りました。そこに映っていたものを、俺は二度見しました。
商店街のアーケードは、休日の買い物客でにぎわっていました。付き合って半年になる彼女と、雑貨屋をのぞきながら歩いていたときのことです。何気なく手をつなごうとした俺に、彼女は首を横に振りました。
手を引っ込めた彼女
雑貨屋を出たところで、俺は彼女の手を取ろうとしました。ところが彼女はするりと手を引き、半歩前に出て言ったのです。
「あなたと歩くの恥ずかしい」
ふざけた調子でもありませんでした。彼女はマフラーを鼻まで引き上げて、そのまま前を歩き出します。
その日の俺は、いつものパーカーにジーンズでした。特別ださい格好をしていたつもりはありません。
並んで歩いても、彼女は店のショーウィンドウばかり見て、こちらを振り向きませんでした。ガラスに映る2人を、俺は横目で眺めていました。
展望台の写り
カフェに入って向かい合っても、彼女はマフラーを外しませんでした。
思い出していたのは、1か月前に行った展望台のことです。係の人に頼んで、手すりの前に並んだ2人を撮ってもらいました。彼女は画面を見て「変な顔」と言っただけで、俺には送ってくれなかったのです。
「恥ずかしいなら、展望台のやつも消しといて」
嫌な言い方だという自覚はありました。それでも、恥ずかしい相手との写りを持っていてほしくはなかったのです。
彼女は「うん、分かった」と言ってスマホを開きました。画面に、手すりの前の2人が映ります。彼女の親指が、ゴミ箱のマークへと近づいていきました。
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あとで、と言われて





























