
「猫を飼う女は寂しい女」と言った彼→うちの猫に懐かれなかった話
コラム
聞こえなかった言葉
台所の入り口からでは、何を言っているのか聞き取れませんでした。
「何してるの」
声をかけると、彼はあわてて体を起こします。
「別に」
膝のほこりを払いながら、彼は私と目を合わせようとしません。
その顔は、心なしか赤くなっているようでした。
ベッドの下の猫は、さっきより少しだけ手前に出てきているように見えました。
寂しい女と笑った人が、なぜ猫にあんなふうに話しかけていたのか。
湯のみを持ったまま、私はしばらくその場に立っていました。
そして...
お茶を受け取った彼は、湯のみを両手で包んだまま口をつけません。
やがて床に座り直して、こちらを見上げました。
「笑わないで聞いてくれる?」
私がうなずくと、彼はゆっくり話し始めました。その間に、ベッドの下から猫が一度だけ出てきて、彼の靴下のにおいをかいで、また戻っていきます。
彼の前に猫が出てきたのは、この日が初めてでした。
最後まで、私は笑わずに聞きました。
あの日の言葉は何だったのか。ベッドの下の猫に、彼は何を話していたのでしょうか。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)






























