花火を子どもっぽいと言った俺が、会場が開く前から土手の一番前に座り続けていた事情

コラム

階段の下で待つ

会場が開いてすぐ、川に一番近い場所にシートを広げました。日差しをよけるものもなく、飲み物ばかりが減っていきます。場所を離れるわけにもいかず、脱いだサンダルを揃え直しながら、打ち上げを待ち続けました。

打ち上げが近づいて、ようやく彼女にメッセージを送ります。

「今から土手に来れる?階段の下」

人の間から彼女の姿が見えたとき、手を振る代わりにシートの半分を空けました。
「座って」

そして...

最初の一発が上がったとき、俺は空ではなく彼女の顔を見ていました。子どもみたいな顔で見上げているところを、どうしても見ておきたかったのです。浴衣ではなく、部屋着のまま急いで来てくれたことも、なぜかうれしく思えたのです。

花火が終わってから、去年の言葉を覚えていたことと、あの一言は言い間違いだったことを話しました。彼女は「予定があるって、ちょっと怒ってたんだから」と言って、日焼けした首を指でつついてきました。その指先が、思ったよりも痛かったのを覚えています。

子どもっぽいと言った花火のために買った青いシートは、来年も使うつもりで、車のトランクに積んだままにしてあります。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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