リーダーを任されなかった俺が、先輩に「若さで勝負できない女は」と口にした会議室での事情

コラム

数字の確認のために受け取ったデータには、取引先の担当者たちの手書きのメモが添えられていました。2枚目のメモの書き出しを、俺は何度か読み返しました。

会議室のドアが閉まり、課長が出ていきました。新しい案件のリーダーに選ばれたのは、5つ年上の女性の先輩。リーダーをやりたいと課長に伝えていたのは、俺も同じでした。残った2人きりの会議室で、俺は口にするべきではない言葉を選んでしまいました。

会議室で口にした一言

先輩はホワイトボードの文字を消していて、俺は机の上の資料をそろえていました。
「先輩がリーダーなんですね」
声をかけると、先輩は手を動かしたまま答えます。
「うん。取引先の担当の方、若い人が多いんだって」
若い担当者が相手なら、年の近い自分のほうが話が合う。
「らしいですね。だからこそ、なんですけど」
資料をそろえる手を止めて、先輩のほうを向きます。
「若さで勝負できない女は役に立てないですよね」
「それ、私のことを言ってる?」
「いえ、一般論です。気にしないでください」
軽く頭を下げて会議室を出ました。一般論だなんて、苦しい言い訳です。選ばれなかった悔しさを、先輩の年齢と、女性であることのせいにしてぶつけただけでした。

資料に添えられた2枚目のメモ

俺の担当は、提案書に使うグラフの数字の確認でした。それから2か月、先輩は取引先に通い続け、担当者たちの声を1人ずつ集めてきます。届くデータには、担当者の手書きのメモの画像も添えられていました。
ある担当者のメモは2枚あり、2枚目は「前回聞いてもらった話の続きです」という書き出し。先輩は同じ人のところに、何度も話を聞きに行っていたのです。年が近ければ話が合うと考えていた自分が浅く思え、資料を受け取るたびにメモを1枚ずつ読むようになりました。
謝るなら今だと何度も思いながら、切り出せないまま2か月が過ぎました。

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