「残念。ここの牛乳パン、好きなんだよね」定休日の店先の一言→俺がサービスエリアに3回寄ったわけ

コラム

棚に並んだ3種類の牛乳パン

3回目の看板が見えたときには、もう言い訳を考える余裕もなく、黙ってウインカーを出しました。

売店のパンの棚に、包装の違う牛乳パンが3種類並んでいました。どれも、あのパン屋のものではありません。彼女が好きだという味に近いのはどれなのか、俺には見当がつきませんでした。

しばらく棚の前で迷ったあと、3つともレジへ。

車に戻り、袋の口を広げて彼女に差し出しました。

「どれか分かんなかったから、全部買った」

膝の上にパンを並べた彼女は、しばらく俺とパンを見比べてから、声を上げて笑い出しました。

「3つも食べられないよ」

そして...

ひとしきり笑ったあと、彼女が言いました。

「なんかずっと落ち着かないから、怒ってるのかと思った」

「え、そう見えてた?」

探すことばかり考えていて、隣からどう見えるかまでは頭が回っていませんでした。照れくさくて、ハンドルを指でたたいてごまかしました。

パンは1つを半分に分けて食べたものの、あの店の味と比べてどうだったのかは聞きそびれたままです。

1回目と2回目の売店のことは、結局まだ話せていません。探し回ったと言えば、恩を着せるようで格好が悪い気がしたのです。

次のデートの候補を送るとき、今は店の名前の横に定休日も書き添えています。あの湖の町のパン屋は、候補の一番上に残したままです。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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