「大事な話がある」と送った俺が、最後まで送れなかった一文

カップル

送れなかった一文

画面の文字を追いながら、入力欄の文をすべて消しました。

彼女は、別れを考えるところまで来ていた。原因の大半は、俺の短い返事と断った約束です。ここで「来てほしい」と送れば、彼女の迷いに自分の都合を上乗せすることになる。そう考えて、理由を尋ねる短い文だけを返しました。

届いた説明には、責める言葉が見当たりませんでした。何度も書き直したような、丁寧な文章です。読み進めるうちに、会えなかった休みの日に自分が何をしていたのか、一度も伝えていなかったことに気づきました。

「異動の話、正式に決まるまで言えなかった。ごめん」

謝るには足りないと分かっていました。それでも、言葉を足すと言い訳が混ざりそうで、そこで送信しました。

そして...

「次の休み、そっち行ってもいい?ちゃんと顔見て話したい」

返ってきたのは「うん、待ってる」でした。

ブラウザには、福岡の不動産サイトが開いたままになっていました。保存した物件は、どれも会社から少し離れた2LDKです。1人で住むには広すぎる部屋ばかり選んでいたことを、彼女にはまだ話していません。

消した一文は、あとからメモに打ち直しておきました。彼女の話を全部聞いてから、それでも言っていいと思えたときだけ口にする。そのうえで、次の休みの予定に、彼女の家へ行くとだけ書き込みました。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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