
妻の転勤を「家庭を捨てるのか」と止めた俺が、ひとりの3ヶ月で書いた手紙の最後に描いたもの
ライフスタイル
俺は30代の会社員で、共働きの妻と二人暮らしです。妻のキャリアは応援してきたつもりでした。けれど、妻から転勤辞令の話を聞いたあの夜、俺の口から出た言葉は自分でも信じられないものでした。
反射的に出た言葉
ある夜の夕食の席で、妻から「地方支社への転勤辞令が出た」と告げられました。期間は2年。栄転だと、妻は少し誇らしげでした。喜ぶべきだとどこかで分かっていたのに、俺の口から出たのは「女のくせに転勤を受けるの?」という言葉だったのです。
「家庭を捨てるのか」とまで言ってしまった。なぜそんな言い方をしたのか、自分でもよく分かりませんでした。ただ、妻のいない2年間が想像できなかった。朝起きたら朝食があって、洗濯物が畳まれていて、夜には「おかえり」と声がかかる。あれが当たり前だと、心のどこかで信じきっていたのです。
譲らなかった妻と、譲った俺
それから何度も話し合いをしました。妻は揺らがず、俺はだんだん引かざるを得なくなりました。最後は折れる形で送り出したものの、出発の日、玄関先で何を声にかければいいのか分からず、俺はただ手を振っただけでした。
妻が出ていったあとの部屋は、想像していたより広く感じました。テレビをつけても、料理を作っても、何かが足りない。連絡は週末の短いメッセージだけ。妻の声が、こんなにも家の中を満たしていたのかと、いまさら気づくことになりました。
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ひとりで知った当たり前
























