
「そのカバン、私の方が似合うから頂戴」とベンチでねだるママ友。笑顔で渡すと、内ポケットの1枚で顔色が変わった
ライフスタイル
笑顔で差し出したカバン
そして今日、彼女はベンチの端から身を乗り出しました。
「そのカバン、私の方が似合うから頂戴」
他のママたちの視線が集まります。笑ってうなずき、財布とスマホをエコバッグに移しました。
「いいよ。内ポケットに前の持ち主さんのカードが入ってるから、一緒に大事にしてあげてね」
受け取った彼女は、得意げに内ポケットへ指を入れました。カードを引き出したところで、口元の笑みがゆっくり引いていきます。
「そのクローバー、どこかで見た気がするんだよね」
私が明るい声のままそう言うと、彼女はカードを裏返してポケットに戻し、持ち手の明るい縫い目を親指でなぞりました。顔色が変わっていくのが、隣に座る私にもはっきり分かりました。
「やっぱり、返す」
差し出されたカバンに、手は伸ばしませんでした。
「一度あげたものだから」
娘の手を引いて公園を出るまで、後ろから声がかかることはありませんでした。
そして...
あの日から、彼女が誰かに「それ頂戴」と言うのを聞いていません。私の肩には今、娘が選んだ布のトートが掛かっています。
1つだけ、ずっと引っかかっていることがあります。カードを見た彼女は、真っ先に色の違う縫い目を指でなぞりました。あのクローバーを描いたのが本当に彼女なら、どうしてあんな言い方でねだったのでしょうか。
(30代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)




























