
夫にもらったカバンを勢いで売った私が、ママ友にわざと図々しくねだった理由
ライフスタイル
内ポケットのカード
彼女はあっさりうなずきました。
「いいよ。内ポケットに前の持ち主さんのカードが入ってるから、一緒に大事にしてあげてね」
指先に触れたのは、見慣れた厚紙の手ざわりでした。引き出すと、自分の字と自分の描いたクローバーがそこにあります。
「そのクローバー、どこかで見た気がするんだよね」
彼女の声は責めるでもなく、明るいままでした。全部知られていたのだと分かり、カードを裏返して戻します。親指は、あの明るい縫い目を探していました。
返そうと差し出したカバンは、一度あげたものだからと受け取ってもらえませんでした。息子が砂だらけの手で駆け寄ってくるまで、膝の上のカバンから顔を上げられずにいました。
そして...
その日、玄関のフックにカバンを掛けると、帰ってきた夫が「実家から持ってきたんだ」と言いました。うなずいただけで、台所へ向かいました。
カードは今、台所の引き出しの奥に入っています。彼女に本当のことを伝えるメッセージは、下書きのまま3回書き直しました。送信ボタンには、まだ触れていません。
(30代女性・パート)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)




























