
「外注で対応できる」と彼女を切った私が、工場の床に座り込んだ日
コラム
会社の経費削減を理由に、ベテランの女性スタッフに退職を求めました。外注で代わりがきくと判断したのです。その見込みがどれほど甘かったか、機械が止まった朝に思い知りました。
10年間、見ていなかったもの
彼女が入社してから10年以上、工場の機械は大きなトラブルなく動き続けてきました。マニュアルもほとんどない古い設備を、ひとりで独学で維持してきた。休日の呼び出しにも応じてきた。そのことは知っていましたが、どこか「あって当たり前」の話として処理していました。
業績が悪化し、人員を整理しなければならない局面で、私が最初に思い浮かべたのが「メンテナンスは外注に切り替えよう」という考えでした。女性スタッフがひとりでこなしていること、外部の業者なら複数社で対応できる。そのほうが安定する、と自分に言い聞かせました。
「わかりました」の返信
「メンテナンスは外注で対応できるから、今月末で退職してもらえないか」
メッセージを送ってから、返信が来るまでしばらく間がありました。返ってきたのは「わかりました」の文字でした。
引き継ぎをしようとしましたが、後任もおらず、外注業者の担当者との顔合わせも日程が合わなかった。形だけの挨拶で終わりました。それでもまだ「なんとかなる」という感覚がありました。
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止まった工場で

























