
実家の味を妻に求めて何が悪いと思っていた俺へ、母が向けた厳しい一言
コラム
実家の味を引き合いに出して妻の料理に注文をつけていた俺。母から受けた厳しい一言で、ようやく自分の鈍さに気づきました。
「母さんの味」が当たり前だった俺
俺は子どもの頃から母の味で育ちました。煮物も味噌汁も、家庭の味といえば母の料理だったのです。 結婚してからも、その感覚は何も変わりませんでした。妻の料理がまずいわけではありません。ただ、「ちょっと違うな」と感じるたび、俺はそのまま口にしていたのです。
「実家のほうが美味しい」というのは、俺にとっては悪気のない感想でした。妻も笑って受け流してくれていたので、嫌だとは思っていないのだろうと勝手に決めつけていたのだと思います。平日も休日も、母の家でも、俺は同じように比較を続けていました。
持参した肉じゃがに、また同じことを言った俺
その日、妻はわざわざ前日から仕込んだ肉じゃがを実家に持っていきました。母の好物を覚えていてくれて、出汁の取り方にもこだわっていたようです。 3人で食卓を囲み、母の煮物と並んだ妻の肉じゃがに、俺は何の気なしに箸を伸ばしました。そして、いつもの癖で口にしてしまったのです。 「やっぱり母さんの味と違うな」 本当に、それだけのつもりでした。けれど隣で妻が箸を止めたのが、視界の端に入っていました。気まずさを感じながらも、いつものように笑い飛ばせばいいかと思っていたのです。
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母から放たれた、聞いたことのない声


























