「面接、どうだった?」と妻から届いた問いに、俺が言葉より先に送った求人票の勤務地

コラム

求人票の写真を、言葉より先に送りました

言い訳の文を何度も書いては、送らずに消しました。入力中の表示が向こうに見えているだろうと思うと、消す指がよけいに早くなりました。送ったのは「見たんだ」の最初のメッセージと、「隠しててごめん。帰ってから話す」の続きだけです。「今、教えて」と返ってきました。俺は求人票の写真を送り、「勤務地のところ、見て」と添えました。町の名前を妻がどう読んだのかは、画面からはわかりません。既読だけがついて、返事は来ませんでした。俺は「お義父さんとお義母さんの近くに住めたらと思って」と打ちました。届いたのは「帰ってきてから聞く」のメッセージでした。

そして...

玄関で靴を脱いでいるところに、妻は、なぜ話してくれなかったのかと聞きました。俺は「言ったら、無理しなくていいって言われる気がして」と答えました。それだけでは足りない気がして、「言ってくれるのがわかってたから、逃げ道にしそうで」と続けました。妻の優しさをわかっていたから使わずにいた、と言えば聞こえはいいですが、本当は断られるのも、許されるのも怖かっただけです。妻は「私にも、選ばせてほしかった」と言いました。通知を見たのはシャワーの間だったことも、その場で聞きました。結果は来週です。俺は今、同じ町の別の求人も並べた一覧を作り、今度は先に妻へ送るつもりでいます。10年いた会社を辞めることが正しいのかは、まだわかっていません。

(30代男性・営業職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

  • X
  • Line