注文した中トロを隣の男性に横取りされた回転寿司→店員さんの「レーンのカメラで確認いたします」

コラム

レーンの上のモニターに「ご注文の商品が到着しました」と出たのに、目の前に止まったのは何も載っていないお皿でした。

カウンター席の隣から聞こえた声

仕事帰りに一人で回転寿司に寄るのは、月末の小さなご褒美でした。カウンターの隣には、スーツ姿の男性と、連れの若い女性が並んで座っていました。男性はレーンを流れるお皿を次々に取っては、女性の前に置いていきます。

「流れてきたら取ったもん勝ちだろ」

そう言って笑う声は、私の席までよく届きました。女性は並べられたお皿を前に、控えめな笑顔を返しています。私はタッチパネルを開き、一番高い金色のお皿の中トロを注文しました。注文品は、小さな札を立てたお皿に載って流れてきます。私の席は、隣の二人より少しレーンの下流でした。

札の付いたお皿が、隣を通り過ぎたあと

注文から数分ほどして、レーンの先に札の付いた金色のお皿が見えました。隣の男性の前を通るとき、彼の手がレーンへ伸びて、すぐに戻ったのが視界の端に入りました。

その直後、モニターから到着を知らせる音が鳴りました。目の前で止まったお皿には、札と、わずかに残ったシャリの粒だけ。隣を見ると、男性は口を動かしながら湯のみに手を伸ばしていました。

「先輩、それ……」

連れの女性が言いかけると、男性は首を小さく振りました。

「いいって」

このお皿は、隣の席の前を通ってからここへ来ています。私は札の付いたお皿をレーンから下ろし、タッチパネルの店員呼び出しボタンに指をかけました。

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