
「ナチュラルなのが好き」と言っただけの俺が、彼女の赤いネイルを笑ってしまった理由
コラム
彼女がベージュを選び続けていた理由に、サロンのお姉さんの一言から思い当たりました。謝るより先に出てきたのは、言ってないのに、という言い分でした。
サロンの椅子は、俺が想像していたよりずっと彼女の手元に近い位置にありました。
待ち時間のつもりで座った席
付き合って2年の彼女とは、サロンのあとに食事の予約を入れていました。開始が遅れたと連絡があり、「店で待ってて」と送られてきたので、小さな個人サロンに顔を出すと、担当のお姉さんが彼女の隣にもう1脚椅子を置いてくれました。
座ってすぐ、俺はテーブルの色見本を彼女より先に手に取り、めくり始めました。付き合い始めに「ナチュラルなのが好き」と言ったのは覚えていましたが、それ以降の彼女の爪の色を意識して見たことはありませんでした。
3回見送っていた赤
彼女は俺の手から色見本を受け取り、最後のページの赤を指しました。
「え、派手じゃない?」
笑いながらそう言ったのは、彼女も一緒に笑うと思ったからです。お姉さんは筆を用意する手を動かしたまま、彼女に向かって答えました。
「でもこの赤、前からずっと見てましたよね」
「前から?」
俺が聞き返すと、お姉さんは続けました。
「3回くらい前からですね。いつも最後はベージュに戻していましたけど」
俺は彼女のほうを見て、「前から赤にしたかったの?」と聞きました。彼女は「うん」とだけ答えました。ベージュに戻していた3回と、自分が言った「ナチュラルなのが好き」が、そこで初めてつながりました。
俺は椅子の上で小さくなり、「そうなんですか」とだけ返して、色見本をテーブルの端に戻しました。彼女は「今日は赤で」と言いました。施術の間、俺はスマホの画面を見ていましたが、内容は頭に入っていませんでした。
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さかのぼった写真



























