
「ナチュラルなのが好き」と言っただけの俺が、彼女の赤いネイルを笑ってしまった理由
コラム
さかのぼった写真
外に出て駅へ向かいながら、俺は先に口を開きました。
「俺、別にベージュにしろなんて言ってないよね?」
「言われてない。でも今日、私が赤を選んだら笑ったよね」
「好みを言うのもダメなの?」
「好みを言うのと、私の好みを笑うのは違う」
返事を探しているうちに信号が変わりました。頼んでいないのに合わせられて、それで責められるのは納得できない、というのがそのときの本音でした。
予約していた店を出て解散し、帰宅してから、何となくスマホの写真をさかのぼりました。しばらくさかのぼると、付き合う前の彼女が赤や濃い色のネイルをしている写真もありました。付き合い始めてから、手元が写っている写真はベージュ系ばかりでした。俺はそれを、好みが合っているのだと思っていました。
それでも、ベージュにしろとは言っていない、という気持ちは残りました。写真を閉じても、「え、派手じゃない?」と笑った自分の声が頭に残っていました。
そして...
その週の休み、俺は彼女の部屋へ行きました。座るなり「俺はまだ、ベージュのほうが好き」と言いました。彼女は「うん」と答えました。
「でも、赤を選んだときに笑ったのは悪かった」
「私も、勝手に合わせて勝手に我慢してた」
「じゃあ次から、俺が何色好きか聞かないで選べば」
「聞いてないけど」
俺は少し笑って、彼女の爪を見ました。感想は言いませんでした。翌月、彼女の爪は緑になっていました。聞かれなかったので、俺も言いませんでした。
(20代男性・営業職)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)





























