
同僚の机を黙って直し続けた私は、「余計なお世話」の一言が怖くて理由を言えずにいました
コラム
直さないと決めた4日間
翌日、その机がどうなっているかは分かっていました。倒れたペン立てを視界の端に入れたまま、私は自分の席で仕事を始めました。同僚が黙って拾うのを、隣で聞いているだけの日が続きました。手を出せば約束を破ることになり、理由を言えば今さら何をと思われる。どちらも選べずに、ペンが床に当たる音を数えていました。4日目、同僚のほうから聞かれました。
「どうして毎回、ペン立てが倒れているんでしょうか」
私は手を止め、机の右の角を指さしました。「退社後の清掃で、台車がそこの角に当たるんです」それから、あなたが来る前に戻していただけだと付け足しました。
「どうして言ってくれなかったんですか」
「言ったら、余計なお世話だと思われる気がして」
それが、3か月のあいだずっと言えなかった全部でした。
そして...
翌週、その机のカップは左の奥に置かれ、ペン立ては中央に寄っていました。右の角には見覚えのない小さなカゴが置かれ、出社するたび少しだけ角度が変わっています。直したくなる手を、私は毎回膝の上に戻しています。それを戻すのが誰の役目か、もう決まっているからです。
(30代女性・経理)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに、相手側の視点を編集部で再構成したものです。個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)





























