
横断歩道の旗振りおじさんを「暇な人」と思っていた私→娘の帰り道で知った、立ち続けるわけ
コラム
「暇ですから」と笑ったおじさん
「ありがとうございました」と頭を下げると、おじさんは立ち上がり、隣の電柱に手を置きました。
「運転席からだと、この電柱の陰は見えないんですよ」
娘と並んで見上げた電柱は、娘の背丈なら、すっぽり陰に入ってしまう太さでした。ハンドルを握る側から、ここにいる子どもは見えない。毎日通っていた道なのに、一度も考えたことがありませんでした。
「毎日、ここに立ってらっしゃるんですか」
「暇ですから」
おじさんは笑ってそう答え、旗の柄を持ち直しました。春休みに娘へ返した私の言葉と、同じ響きに聞こえたのです。
そして...
帰り道、娘は「電柱のとこで1回止まって、車の人の顔を見るんだって」と教えてくれました。家に着くと、玄関でその止まり方を2回もやって見せてくれます。
それからは交差点を通るたび、おじさんに「こんにちは」と頭を下げるようになりました。おじさんも旗を少し上げて応えてくれます。
ただ、あの「暇ですから」が私の言葉を覚えていたからなのかどうかは、まだ聞けていません。
(30代女性・パート)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)






























